近年、多くの企業で副業・兼業を解禁しており、取り組んでみたいと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、副業・兼業に関して以下のような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
- 兼業・副業が会社にバレるのでは?
- どのように兼業・副業を探せばよいのか?
- スキルアップするための兼業・副業とは?
本記事では、副業・兼業の実態を紹介しつつ、副業・兼業が会社にバレるリスク、副業・兼業の始め方、おすすめの仕事を説明して参ります。
副業・兼業とは
副業とは、本業以外の仕事から収入を得ることを指し、本業を行う会社とは雇用関係にありながら、他の会社の仕事を業務委託契約で受注することが多いです。
兼業とは副業とは異なり、複数の会社で雇用関係を持ち、業務を兼任することを指します。
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとして、兼業・副業を推奨しています。一方で、会社が就業規則により副業を禁止することは認められています。
兼業・副業の実態
労働者の副業・兼業の実施状況
副業・兼業を実施している人の割合は約10%程度で、それほど多くの人が実施しているわけではありません。
年代別に見ると、比較的若年層において副業・兼業を実施している割合が多いです。20歳代はまだ本業の収入もそれほど多くはないため、収入の補てんとして副業・兼業に取り組む割合が多いと考えられます。
企業の副業・兼業を認める制度の導入割合
厚生労働省の推奨もあり、副業・兼業を認める企業の割合も徐々に増えており、2022年では51.8%の企業が副業・兼業を認める制度があると回答しています。
比較的従業員数の多い企業の方が、副業・兼業を認める制度を導入している割合が多くなっています。
副業・兼業のメリット
労働者のメリット
所得の増加
本業に取り組みつつ、副業・兼業に取り組むことで収入を増やすことができます。また、収入減を複数持つことで、一方で失業・収入減が発生した場合でもリスクを分散することができます。
また、副業・兼業を通じてスキルアップした結果、本業においても昇進・昇給を実現できる可能性もあります。
スキルアップ
本業を離職せずとも、別の業界・業種の仕事に従事し、別のスキルを身につけることができます。身につけたスキルを本業で活用することで、生産性・業務品質を向上させることができます。また、スキルを活かして転職・起業などによる理想のキャリアを実現することができます。
人脈の拡大
本業以外の業界・業種の副業・兼業に取り組むことで、新たな人脈を築くことができます。人脈形成を通じて、転職や起業などの新たな挑戦機会をつかむことができます。
企業側のメリット
労働者のスキルアップ
副業・兼業に取り組むことで労働者が、本業では得られないスキルを獲得することができます。このようなスキルを本業で活用してもらうことで、業務の生産性・品質が向上することが期待できます。また、労働者が得た知識・スキルを活用し、新規ビジネスに挑戦することもできます。
人材の確保
副業・兼業を認め、労働者に働きやすい環境を提供することで人材が流出することを防止することができます。また、人材の募集においても「副業・兼業が可」という点がアピールポイントとなり、採用の競争力を高めることができます。
副業・兼業のデメリット
労働者のデメリット
就業時間が長くなる
副業・兼業を行うことで就業時間が長くなる場合があります。結果として、プライベートに使う時間が減ったり、疲労による健康上のリスクが発生する可能性があります。本業の業務に対して支障が発生するリスクもあります。
そのため、副業・兼業に取り組む際は、労働者自身で就業時間や健康管理を行う必要があります。副業・兼業に時間を多く使いたい場合は、週休3日制の企業で働くことも良いと思います。週休3日制の企業の例は、下記記事をご覧ください。
本業との関係でトラブルが発生するリスクがある
職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を遵守しなければ、本業との関係でトラブルが発生するリスクがあります。
職務専念義務とは、誠実に職務に専念する義務です。副業・兼業に注力するあまり、本業が疎かになってしまうとこの義務に違反する可能性があります。
秘密保持義務とは、企業の秘密情報を漏洩しない義務です。副業・兼業先で本業で得た情報などを開示すると本義務に違反する可能性があります。
競業避止義務とは、勤務する企業と競合する事業に取り組まない義務です。副業・兼業で本業と競合する業務に従事すると本義務に違反する可能性があります。
それぞれの義務の内容は各社の職務規定によって異なりますが、義務に違反すると処罰の対象となる場合もあります。副業・兼業に取り組む際は、職務規定に抵触しないかを確認しましょう。
企業側のデメリット
生産性・業務品質の低下
労働者が副業・兼業に注力するあまり本業が疎かになり、生産性や業務品質が低下する可能性があります。また、疲労などで体調を崩し、本業を欠勤したり、休職したりするリスクもあります。
本業・副業を認める場合は、就業時間や健康管理を徹底させるように指導を行ったり、サポートを行ったりする必要があります。
情報漏洩のリスク
労働者が副業・兼業先で自社の情報やノウハウを漏らしてしまう可能性もあります。特に競合企業に自社の情報が漏れてしまうと事業に対して大きな影響が発生します。
秘密保持義務、競業避止義務の周知し、徹底させなければいけません。
離職のリスク
労働者が副業・兼業先でスキルを獲得し、転職や起業を検討する場合もあります。優秀な人材流出のリスクもあるため、副業・兼業を認める際はそのような点も許容しなければいけません。
副業・兼業は会社にバレる?
原則として労働者は自由に副業・兼業に従事することができますが、企業は就業規則で副業を禁止することができます。会社で副業が禁止されているにもかかわらず、副業を行うと処分の対象となる可能性もあります。
副業・兼業は以下のような場合に、会社にバレる可能性があります。
住民税の通知
副業・兼業での所得が20万円を超える場合、確定申告が必要となります。確定申告の後に副業・兼業の収入も含めた住民税の金額が本業の勤務先に通知されるため、会社に副業がバレます。
社会保険の加入
以下の通り、副業先の労働時間や収入によっては、社会保険に加入する義務が生じる場合があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 賃金月額が月8.8万円以上(年間約106万円以上)
- 2ヵ月を超えて使用されることが見込まれる
- 従業員101名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
- 学生でない(夜間や定時制除く)
社会保険に加入すると、社会保険料は本業と副業先の企業の収入に応じて按分された金額が給与から天引きされるため、その過程で会社に副業がバレる可能性があります。
副業・兼業は就業規則に則って取り組むべき
上記の通り、副業・兼業は隠れて取り組んでいたとしても本業の勤め先にバレてしまうリスクがあります。そのため、就業規則で認められている場合に限って取り組むようにしましょう。
また、副業・兼業に取り組む際は、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識して、仕事内容を選択する必要があります。本業との時間調整や業務内容に関して不安がある場合は、会社に相談の上で、副業・兼業に取り組むようにしましょう。
禁止されているにもかかわらず本業・副業が会社にバレてしまうと、処分の対象となるだけでなく、今後の昇進・昇給にも影響を及ぼす可能性があります。本業・副業に取り組む際は、就業規則の確認、会社への報告を怠ることのないようにしましょう。
もし、現業で副業が禁止されている場合、副業可能な企業へ転職することも良いと思います。
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副業・兼業の選び方
副業・兼業の目的の明確化
まずは副業・兼業の目的を明確にしましょう。例えば、副業・兼業の目的としては以下のようなものがあります。
- 収入アップ
- スキルアップ
- 人脈拡大
何を目的にするかによって、仕事の選び方も大きく変わってきます。
収入アップであれば、自身の得意領域の仕事を選ぶ方が取り組みやすく、高い成果を創出することができます。一方で、スキルアップであれば、本業とは異なる仕事を選ぶことも良いでしょう。
スキル・経験の棚卸
次に自身のスキル・経験の棚卸を行います。副業・兼業はカルチャーマッチよりもスキルマッチが重視される傾向にあるので、現在どのようなスキルを持っているかきちんと把握します。
スキルにはポータブルスキルとテクニカルスキルがあります。
ポータブルスキル
ポータブルスキルとは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことで、”仕事のし方”と”人との関わり方”に分類され、さらに以下の9つの要素に細分化されます。
仕事のし方 | 現状の把握 | 取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方 |
---|---|---|
課題の設定 | 事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方 | |
計画の立案 | 担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方 | |
課題の遂行 | スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方 | |
状況への対応 | 予期せぬ状況への対応や責任の取り方 | |
人との関わり方 | 社内対応 | 経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方 |
社外対応 | 顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方 | |
上司対応 | 上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方 | |
部下マネジメント | メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方 |
厚生労働省が提供する「ポータブルスキル見える化ツール」などを活用し、自身のポータブルスキルのレベルを可視化しましょう。同時にそれぞれの裏付けとなる業務経験を言語化し、応募書類や面接できちんと説明できるようにします。
ポータブルスキルの磨き方に関しては下記の記事をご覧ください。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、特定の業務を遂行するために必要な専門知識・スキルを指します。
以下のような現在保有している資格や特定の領域での業務経験がテクニカルスキルを示します。
- ITストラテジストの資格を保有している
- Pythonでの開発経験5年
制約の確認
次に各種制約を確認しましょう。
時間的制約
本業での勤務時間、プライベートの時間などを考慮し、副業・兼業に使用できる時間を把握する必要があります。副業・兼業で就業時間が長くなると疲労も蓄積するため、休息の時間も考慮した上で、副業・兼業に使用できる時間を設定しましょう。
就業規則による制約
就業規則によって、副業・兼業に認められる業務内容が限定されている可能性もあります。どのような副業・兼業が認められているのか、また、副業・兼業先で禁止されている事項などがないか、就業規則を確認しましょう。もし、不明点がある場合は、会社に確認しましょう。
副業・兼業を探す
上記の目的、スキル、制約を確認の上、最適な副業・兼業を探します。副業・兼業を探す手段としては以下のようなものがあります。
会社の紹介
会社によっては社員に対して副業・兼業を紹介している場合があります。そのような場合は、就業時間の管理なども会社がサポートしてくれるため、取り組みやすいことが多いです。また、本業へ活かすことができるスキルが身につく案件も多いため、キャリアアップを実現することができます。
友人・知人の紹介
友人・知人の紹介により取り組む方法もあります。相手は自身のスキルや経験をある程度理解した上で、依頼を行うため、スキルのミスマッチが生じることは少ないです。一方で、業務内容によっては本業との両立が難しい場合や競業避止義務に違反する場合もあるので、確認が必要となります。
案件紹介サービス
以下で説明する案件紹介サービスを利用する方法もあります。案件紹介サービスでは成果が明確に決まっており、業務内容も分かりやすい場合が多いです。短期・短時間の案件も豊富にあり、本業との兼ね合いで業務調整も行いやすいため、初めて副業・兼業に取り組む際は、案件紹介サービスを利用することをおすすめします。
主な案件紹介サービス
副業は以下のような案件紹介サービスを通じて探すことができます。
クラウディア
クラウディアは株式会社エムフロが運営するシステム手数料業界最安水準のクラウドソーシングサービスです。
運営会社 | 株式会社エムフロ |
本社所在地 | 東京都渋谷区東3-13-11 A-PLACE恵比寿東 4階 |
サービスページ | クラウディア |
求人数 | 6,583件(2024/6/16時点) |
クラウディアでの受注方法は以下の3通りあります。
- 選んで受注する(クラウドソーシング):クライアントが公募している案件に応募し、仕事を受注
- 選ばれて受注する(スキルシェア):自身のスキルを登録し、仕事を受注
- オファーを待つ(クラウディアPRO):自身の経歴・スキルを登録し、マッチする業務のオファーを受ける
クラウディアのシステム手数料は業界最安水準であるため、比較的高額の報酬を得ることができます。
クラウドワークス
クラウドワークスは、株式会社クラウドワークスが運営する会員数480万人の国内最大級のクラウドソーシングサービスです。
運営会社 | 株式会社クラウドワークス |
本社所在地 | 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー6階 |
サービスページ | クラウドワークス |
求人数 | 446,351件(2024/6/16時点) |
ライティング、データ入力、ロゴ作成、動画制作・編集、システム開発等250種類以上の仕事から選択することができます。在宅ワークが可能な仕事も豊富にあるため、家事・育児に忙しい方でも取り組みやすいです。
仕事を開始する前に仕事の依頼主より仮払いを行う「事前仮払い」の制度があるため、仕事が完了すれば、確実に報酬を受け取ることができます。
ワーカー限定に以下のようなサポートを提供しており、フリーランスでも安心して働くことができます。
- お仕事サポート:確定申告から法律相談などのサポート
- スキルアップ支援:クラウドワークスが運営する「みんなのカレッジ」始め、仕事に必要なスキルアップの講座やセミナー、勉強会
- ライフサポート:ベビーシッターや保険、トラベル・レジャーなどの各種サービスをお得に利用できる
キャリアアップ・スキルアップのためのおすすめの副業・兼業
副業・兼業には様々な種類がありますが、以下ではキャリアアップ・スキルアップのためのおすすめの副業・兼業を紹介します。
エンジニア
本業でエンジニアを取り組んでいる方は、副業でプログラミング等に取り組むことでスキルアップを図ることができます。また、本業にも活用しやすく、キャリアアップを実現することができます。
案件によっては高単価の案件も多いため高い収入が期待できます。
ライティング
本業で文章作成や編集に取り組んでいる方は、Webライティングや文章校正に取り組むことでスキルアップを図ることができます。ライティングは様々な業界・業種で求められるため、案件も多数存在します。本業とは異なる分野のライティングに取り組むことで、新しい知識・スキルを身につけることができます。
デザイン
本業でグラフィックデザイナーやイラストレーターなどを行っている方は、ロゴ制作やバナー制作などの案件を受注できます。デザインスキルは、Web制作や広告制作など、様々な分野で需要があるため、案件も多数存在します。異なる分野において、デザインに関するフィードバックをもらうことで、発想の幅を広げることも期待できます。
翻訳・語学
特定の言語について語学力がある方は、翻訳の仕事を行うことで、語学力をさらに磨くことができます。映画、書籍、商品説明、広告など翻訳が必要な領域は多岐にわたるため、非常に需要が多いです。語学力は汎用性が高いため、様々なキャリアに挑戦するための武器として活用することもできます。
セミナー講師
特定の分野で突出した経歴やスキルを持つ方は、特定のテーマでセミナーの講師を行うことができます。人に教えることは、より効率的にスキルを磨くことにつながります。下記のようなプラットフォームを活用することで、企業の依頼がなくとも独力でセミナーを提供することができます。人気を集めれば、1回のセミナーで高額の報酬を得ることも期待できます。
まとめ
以上、副業・兼業の実態、メリット・デメリット、選び方、おすすめの仕事を紹介しました。
副業・兼業はスキルアップ、収入アップを実現できる非常にメリットが多いものです。一方で、本業との兼ね合い、就業規則を確認しなければ、トラブルを発生するリスクがあります。副業・兼業を始める際は、目的、自身のスキル、制約をきちんと確認した上で取り組むことを心がけましょう。
副業・兼業を探している方は本記事も参考に、是非自身のキャリアアップ・スキルアップを実現できる仕事を探してみてはいかがでしょうか。