仕事ができる人は、何においても”はやさ”を大切にしています。”はやさ”はそれ自体が大きな価値を生み出し、比較的容易に身につけやすいため、周りの社員と差を付けたいなら”はやさ”を極めるべきです。
本記事では、”はやさ”の重要性とその実践例をご紹介します。
“はやさ”とは
“はやさ”とは”早さ”と”速さ”に分けることができます。
- 早さ:タイミングが早い
- 速さ:作業・動作が速い
“早さ”および”速さ”を実践することは以下のような観点で重要になります。
早さ
まず”早さ”ですが、これはビジネスにおける適切なタイミングを逃さないという意味で、以下のような観点で重要になります。
重要性
ビジネスチャンスの獲得
ビジネスにおけるチャンス(良い機会)は限られており、競合やライバル(同僚など)と競い合い獲得していく必要があります。”早さ”を実践できれば、このチャンスを誰よりも早くつかむことができ、事業・自身の成長に大きく寄与します。そして、他者に対して競争優位性を獲得することにもつながります。
信頼獲得
ビジネスにおけるチャンス(良い機会)とは、他者が困っていたり、何かをしてほしいと感じている状況です。そのようなタイミングで、助けてくれる人にはありがたいと思うと同時に頼りたいと感じます。結果として、他者からの信頼を獲得することにつながります。
実践例
この”早さ”の実践例としては以下のようなものがあります。
市場・顧客のニーズを踏まえ、競合企業よりも先にサービスを提供する
たとえば、市場調査や顧客へのインタビューを通じて、どのようなことに困っているか、どのような商品・サービスが欲しいかを調査し、そのニーズを満たすサービスを早期に提供します。
上記を実践することで、競合企業との関係では競争優位性を得ることができます。新製品の開発、市場への投入が早ければ早いほど、シェアを獲得し、優位なポジションに立つことができます。
顧客が商品・サービスのほしいタイミングで、営業を行う
たとえば、取引先の状況や顧客の行動を分析し、どのようなタイミングで、どのようなサービスが欲しいかを把握します。そして、顧客が要望を示すよりも先にサービスを提供します。
上記を実践することで、顧客の満足度を高めることができます。顧客は困っているときに商品・サービスを欲するものです。そのときに誰よりも早くアプローチしてくる人に対して好感を持ちます。逆にアプローチが遅いほど、不満や不安を感じます。
上司に聞かれるよりも前に報告・連絡・相談を行う
たとえば、報告・連絡・相談は上司に求められる前に、業務の状況を踏まえて自発的に実施します。
上記を実践することで、上司からの信頼を得ることができます。上司は任せている仕事に関してメンバーからの報告が早期に自発的に行われれば、安心してメンバーに仕事を任せることができます。逆に、いつまでたっても報告がなく、上司自ら状況確認を行わないといけない状況になると、本当に仕事を任せてよいか不安になります。特に問題や失敗が起こったときは特に報告の早さが求められます(バッドニュースファスト(Fast)/ファースト(First))。
速さ
次に”速さ”ですが、これは与えられた仕事・作業をできる限り短時間で終わらせることです。生産性を向上させるとも言い換えることができます。この”速さ”は以下のような観点で重要になります。
重要性
他者からの評価の向上
仕事が速いということは、それだけで他者からの評価は上がります。
たとえば、1時間に50個の成果を出す人と1時間に100個成果を出す人では、当然ながら後者の方が高く評価されます。企業を主体としても、注文した商品を2か月で完成させてくれる企業と1ヶ月で完成させてくれる企業では、後者を選択する人が多いでしょう。
ワークライフバランスの向上
仕事が速いということは、自身のワークワイフバランスを高める上でも重要になります。
仕事が速ければ、それだけ残業時間を減らすことにつながります。結果として、プライベートの時間を増やすことができ、ワークライフバランスを高めることができるのです。
実践例
業務プロセスの効率化
たとえば、手作業で行っている業務に対して機械やシステムを導入することで、業務の効率化を行います。
上記を実践することで、顧客向けには商品やサービスを競合企業よりも早く納品することができます。顧客目線では、より早く商品・サービスを提供してくれる企業の方が好ましいです。また、業務プロセスが効率化することで、余った時間を別の業務に投資することができます。
作業のスピードアップ
たとえば、ツールやテクニックを活用し、自身に課せられた作業のスピードを向上させます。
上記を実践することで、上司に対して早期に依頼された作業の成果を報告することができます。上司目線では、早く報告を上げてくれることで、安心して仕事を任せることができるという確信を得ることができます。自分自身も作業が速く終われば、それだけ残業時間を減らすことができます。
注意点
このように”速さ”も”早さ”と同様に競争優位性、信頼を得るための要素です。ただし、注意が必要なのは”速さ”を重視するあまり、品質をないがしろにしてはいけないということです。
提供する成果物・サービスにミスや欠陥があっては上司や顧客の信頼を失う可能性があります。そのため、”速さ”と”品質”を両立するため作業を効率化することが大切です。
簡単な実践例は、PowerPoint、Excelといったツールにおいてショートカットを使うことです。ショートカットを使うことは、作業のスピードが上がると同時に、品質も維持することができます。
まとめ
“はやさ”が最大の競争力になる理由は、誰にとってもその価値は等しいからです。わかりやすくレストランで料理を注文したときのことを考えます。同じ品質の料理であっても、人によって味覚は異なるため感じる価値は異なります。すごくおいしいと思う人もいれば、それほどおいしくないと思う人もいます。それに対して、注文から料理提供までの時間が10分のレストランと20分のレストランとでは、ほとんどの人が10分のレストランを高く評価します。このように”はやさ”は誰にとっても同じように価値を感じることができます。
仕事でも同じように、作成した成果物に対して上司によって評価が異なるということはよくあります。それは大切にする価値観や仕事のスタイルが上司によって異なるからです。しかしながら、成果物を完成させるまでのスピードは速ければ速いほど、どのような上司でも評価してくれます。
このように”はやさ”は仕事において大きな競争力を生み出す重要な要素であり、比較的価値を生み出しやすい要素でもあります。どのような場面においても”はやさ”を意識することを心がけましょう。
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