ビジネスの世界において成長の速い人は”守破離”を実践しています。
守破離とは、成長における3つの段階を表しています。元来は茶道や武道などにおける修行の過程を示したものですが、現在ではビジネスの世界においても通用する概念として広く活用されています。
守破離とは
守破離のそれぞれの内容は以下の通りです。
- 守:師の教え・型を忠実に守り、基礎を身につける段階(”守る”)
- 破:自分なりの創意工夫を加え、改善・発展を試みる段階(”破る”)
- 離:自分なりのスタイル・様式を確立し、他者に広めていく段階(”離れる”)
ビジネスの世界における守破離とは以下のように整理することができます。
- 守:定められてマニュアル・プロセスや上司のやり方を理解し、忠実に実践する
- 破:ルールやプロセスに対し、自分なりに見直し・追加を行うことで、効率化・品質の向上を試みる
- 離:自分なりの仕事のやり方・プロセスを確立し、新たなルール・マニュアルとして、メンバーや会社内に普及させる
守破離の注意点
意外におろそかにしがちなのは”守”の実践であり、基礎が定着していないにもかかわらず、我流で仕事を進めてしまう人もいます。最初から”破”や”離”でも良いのではないかと、思う方もいるかと思いますが、最初に”守”を実践することが大切です。もし”守”を行わなければ、非効率的な作業が発生したり、失敗や手戻りが増加したりする可能性があります。結果として、質の高い成果を生み出すことはできません。
会社が定めているルール・マニュアルや上司の取り組んでいるプロセスは、長期間にわたって確立された効率的かつ高品質な方法なのです。それを超えるような方法論を我流でいきなり確立することは、まず不可能です。そのため、まずは”守”によって基礎を身につけることが重要になるのです。
守破離のタイミング
守破離に明確なタイミングはありませんが、一般的には以下のような目安が考えられます。
守
社会人として初めて就職した企業においては1~2年目は”守”の段階です。まずはマニュアルや直属の上司の指示に従って業務を進め、基礎を身につけます。大切なことは、上司や先輩の一挙一動を忠実に真似ることです。
破
基礎が身につき、業務に慣れてくると、既存のプロセス・ルールにおける問題点や改善点が見えてきます。また、直属の上司だけでなく、他の先輩・同僚の話を聞くことで、新しい知見を身につけることができます。この段階で、”破”を実践します。自分のアイデアや他者の知見を活用し、既存のプロセス・ルールに改良を加えます。
離
既存のプロセス・ルールの改良だけでは、生み出せる価値に限界を感じる場合があります。また、今までにない新しい価値を創造したいと考えるようになります。この段階で、”離”を実践します。自分なりの仕事の方法・スタイルを確立し、新しい価値の創造・既存との差別化を実現します。そして、このスタイルをメンバーや後輩に伝える、また、組織全体に普及させていきます。
まとめ
このように”守破離”を実践することにより、着実な成長を実現できると同時に、組織に対しても効果的な影響を与えることができます。自分自身が今、どの段階にいるのかを意識しながら”守破離”を実践してみましょう。
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