「お客様第一主義」「お客様は神様だ」という言葉がありますが、顧客(クライアント)の要求を何でもかんでも引き受けてしまっては、様々な問題を生じさせます。特にチームを率いるリーダー・マネージャーの立場の場合、きちんと”NO”を伝えられないとチームをつぶす可能性があります。
本記事では、”NO”といえないことの弊害、クライアントに”NO”と伝えるためのポイントを紹介します。
「デキる社員の100のコンピテンシー」では、マインドセットとスキルセットに分けて、どのような時代、どのような場所においても通用するコンピテンシーを紹介しています。
マインドセットでは、仕事に対する考え方や信念、価値観などの、思考や行動の基盤となる心の持ち方を解説しています。また、スキルセットについては、仕事を遂行するために必要な能力・技術を解説しています。
“NO”といえないマネージャー
リーダーの立場では、クライアントや経営層とコミュニケーションを取って、仕事の依頼を受けることになります。その中には、過度な要求、重要度の低い依頼を行われる場合もあります。そのような場面で、はっきりと”NO”、つまり、「できない」「受け入れられない」と伝えられなければいけません。
クライアントや経営層の依頼を何もかも引き受けては、チームのメンバーに大きな負担を強いる可能性があります。また、プロジェクト全体の進行や組織全体の成長を阻害する恐れもあります。このような状態が継続すると、メンバーの離職・休職などを引き起こし、チームをつぶしてしまう可能性があります。
実際にあったケースですが、ある競合調査プロジェクトにおいて当初クライアントと合意したスコープは、クライアント企業5社の調査でした。しかし、クライアントから「別業界の似たビジネスモデルを採用している企業も調査してほしい」という要求があり、マネージャーは断り切れず、引き受けてしまいました。結果として、チームメンバーの月の平均残業時間は50時間に達し、体調を崩すメンバーも現れました。
このような事態を防ぐためには、クライアントに対して明確に”NO”という勇気が必要になります。
“NO”を伝えるためのポイント
“NO”を伝えるためには以下のようなポイントを意識することが重要です。
明確に”NO”の意思を伝える
「ちょっと難しいかもしれません」「検討してみます」といった曖昧な回答をすると、相手に引き受けたと誤解を与える可能性があります。「できません」「お断りします」というようにはっきりと”NO”の意思を伝えることが重要です。
また、口頭の約束では、後々言った言わないの議論になる可能性もあるため、メールなどで明確に文書として残しておくことが大切です。
理由を説明する
なぜ”NO”なのかを具体的に説明することで、相手を納得させることができます。スケジュール、予算、人員に制約がある場合は、きちんと事実・データに基づき優先順位を示すことで、不可能である旨を伝えます。また、そもそも取り組む意義がないのであれば、その理由をきちんと伝えましょう。
- 当初合意したスコープと異なるため、できません。
- プロジェクトのメンバーは2名であり、当初の計画したタスクに取り組むのに手一杯です。
- そのタスクは、取り組んだとしても、期待される成果は小さいので、優先度を下げるべきです。
代替案を示す
可能であれば、依頼者に対して代替案を提示することで、相手の要望に応えようとする姿勢を示すことが大切です。クライアントも何かしらの意図や目的を持って依頼をしていることがほとんどであるため、その意図や目的を正確に理解して、提案を行ってみましょう。
- 人員を1名追加できれば、部分的に取り組むことができます。
- 別の仕事の優先順位を下げても良いのであれば、対応できます。
- 貴社からサポートメンバーを追加していただければ、対応可能です。
まとめ
“NO”というのは、相手に失望される、評価が下がるかもしれないという不安があります。しかし、チームの負担を過度に増やしてつぶしてしまうことのないように、ときには”NO”という勇気を持つことを心がけましょう。
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