ビジネスにおいて優先順位を付けることが重要であるということは言うまでもないことだと思いますが、これは経営層や管理職だけでなく、現場で働くメンバーにも意識することが求められます。
優先順位の重要性
ビジネスにおいてはあらゆる場面で優先順位を問われます。それは、活用できる資源(人・モノ・カネなど)や時間は有限であるからです。
たとえば、新規事業に取り組む際、様々な事業の選択肢がある中で、優先順位をつけて取り組む必要があります。これは、時間、資金、人材などの資源は有限であるため、すべての事業に取り組むことができないからです。また、限りある資源を一つの事業に集中させることで、競合企業に対して優位性を保つことができます。
また、個人の作業レベルでも同様に、複数の作業については優先順位をつけて取り組む必要があります。分かりやすいのが、各作業に定められている納期の順に取り組むことです。その他、クリティカルパスを特定した上で、プロジェクトの完了に大きな影響を与える重要な作業から取り組みます。クリティカルパスとは、プロジェクト全体の中で、最も長い時間を要する経路であり、この経路上にある作業が遅延するとプロジェクト全体が遅延するリスクがあります。
このようにビジネスにおいて優先順位をつけることは限られた資源を有効活用し、納期通りの目標達成を行うために必要不可欠です。
優先順位つけるための方法・フレームワーク
優先順位の付け方は様々ですが、取り組む事業を選択する際や参入する領域を決定する際は効果(ビジネスインパクト)と実現可能性により判断することが多いです。
効果(ビジネスインパクト)×実現可能性による優先順位付け
効果(ビジネスインパクト)とは、売上などの期待されるリターンを指します。また、実現可能性とは、実現するための資源・能力の有無、参入障壁の有無により判断します。効果・実現可能性が共に高いものが、リターンも大きく、取り組みやすい事業として優先されます。
重要度×緊急度による優先順位付け
タスクなどについては、上記で紹介したクリティカルパス上のタスクを優先的に行う方法の他、重要度と緊急度により判断する必要があります。
重要度とは、タスクが目標達成のためにどれだけの影響を与えているかを指します。また、緊急度とは、タスクに対してどれくらい迅速に対応する必要があるかを指します。重要度・緊急度が共に高いタスクについては、優先的に着手する必要があります。
クリティカルパスによる優先順位付け
プロジェクトにおけるタスクは、最も長い時間を要する一連のタスクであるクリティカルパスに基づき、優先順位を決定します。
クリティカルパスによる優先順位付けは以下の手順で実施します。
- タスクの洗い出し:プロジェクトにおけるすべてのタスクを洗い出す。
- タスクの依存関係の明確化:どのタスクが他のタスクの完了を前提としているかを明らかにする。
- 所要時間の見積り:過去の実績などから各タスクの所要時間を見積もる。
- クリティカルパスの特定:プロジェクトの開始から完了までの最も長い経路を特定する。
- 優先順位の決定:クリティカルパス上のタスクを優先的に行う。
たとえば、下図のようにA~Gまでのタスクと依存関係、所要日数を整理します。最も時間のかかるのは、タスクD、Eを実施する経路であり、ここがクリティカルパスであることが分かります。このクリティカルパスに基づき、以下のような判断を行うことができます。
- タスクFを開始するには、タスクC、D、Eを完了させる必要がある
- タスクFを開始できるのは最短でも17日後(A⇒B⇒D⇒E)
- タスクCは多少余裕を持たせることができる(遅延してもリカバリーが可能)
- タスクD、Eで作業の遅延が発生した場合、プロジェクト全体の遅延につながる
上記のような判断に基づき、タスクDを優先的に取り組むべきことが分かります。
まとめ
優先順位を付けることは、限られた資源・時間を有効活用し、事業やプロジェクトを成功させるために必要不可欠です。そのため、上記のような優先順位を付けるための方法・フレームワークが効果的です。
しかし、優先度の判断は個別事情が大きくかかわるため、仕事やプロジェクトの性質、事業環境に合わせて判断していく必要があります。また、状況が変われば、優先度も変わるため、変化に合わせて優先度を見直すことを心がけましょう。
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