学生も社会人も就職活動が上手くいかなかったり、長期化したりすると、不安や焦りを感じてしまいます。このような状態が続くとうつ状態に陥って、食欲不振・睡眠障害を引き起こす可能性もあります。このような症状を「就活うつ」と呼びます。就活うつは誰にでも起こり得る問題で、素早い対処が重要になります。
本記事では、就活うつの原因と対策を私の実体験も踏まえ解説していきたいと思います。
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どれくらいの人が就活うつになっている?
近年、企業の多くが人材不足の課題を抱えており、就職・転職市場においては売り手市場が続いています。たとえば、2024年卒の学生の求人倍率は1.71倍で求人に対して学生が足りていない状況があります。この状況は2015年卒から変わっておりません。
売り手市場においては一般的に就職活動が上手くいくと考えられますが、就活うつになる人は非常に多いです。
株式会社ABABAが2024年度卒の学生を対象にした調査では、約54%が就活中に「うつっぽい」と感じたことがあると回答しています。さらに就活生の30%が死にたいと思ったことがあると回答しています。
私自身も学生の頃、就職活動で希望の企業の内定がなかなかもらえず、うつの症状になったことがあります。なかなか眠ることができず、学業にも集中できずに単位を落としてしまうこともありました。
就活うつは決して他人事ではなく、誰にでも起こり得る問題だと自覚することが大切です。
就活うつの原因は
就活うつは様々な要因が複合的に関連して発症することが多いです。その要因としては以下のようなものがあります。
就活目標が不明確
「どのような企業に就職して、何をしたいのかわからない」というように就職活動の目標が不明確だと不安やストレスを感じることになります。自分は何のために就活しているんだという気持ちになり、就職活動に対するやる気を失ってしまうことになります。
特に学生の内は、自身のキャリアプランなど立てている人は少ないため、「周りが就職しているから、自分も就職しないといけない」という考えで、就職活動を進めている人が多いと思います。このように目的意識がないと、企業から内定をもらっても、本当にこの企業で良いかわからなくなり、就職活動が長期化してしまいます。
自身の喪失
企業からの不採用通知を受けると「自分を否定された」「自分はいらない人間なんだ」という自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。特に不採用が続いてしまうと自己肯定感が低くなり、面接でも自身を持って話すことができず、また不採用になってしまうという悪循環が続きます。
私自身も希望する企業から多くのお祈りメールをもらって、自分は必要とされていないんだという心理に陥ってしまい、就活を続けるのがつらくなってしまいました。不採用理由を教えてくれない企業も多く、何が悪いのかもわからず、不安な状態が続いていました。
周囲の目線・期待
周りの友人などが有名企業に内定をもらっていたり、多くの企業で内定をもらっていたりすると、自分だけ取り残されていると感じて不安や焦りを感じてしまいます。また、友人は大手企業に内定をもらえたのに、自分は中小企業でしか内定が出なかったと、企業に序列をつけて劣等感を感じる場合もあります。
また、周囲の期待に答えなければいけないというプレッシャーもあります。特に高学歴の学生の場合は、親から有名企業・大手企業に就職してほしいという期待があるかもしれません。そのような中、なかなか内定がもらえないとプレッシャーに押しつぶされてしまうこともあります。
情報過多・情報の偏り
近年、インターネットやSNSで就活、企業に関する情報が非常に多く、何を信用してよいかわからなくなり、混乱や不安を生じさせることもあります。特に就職偏差値や就職難易度といった情報は、企業に明確な優劣をつけるもので、それに合わせて志望する企業を選択する人も少なくないです。このような根拠が不確かな情報もあふれており、どれが正しい情報かわからなくなります。
また、就活サイト、口コミサイトなどは非常に便利なツールですが、大手企業・有名企業の情報が多く、他の中小企業などの情報は非常に少ないです。そのため、どうしても大手企業・有名企業を中心に就活を進めて、不採用が続いてしまうということもあります。
肉体的な疲労
就職活動が長期的に続くと当然ながら肉体的な疲労を感じてしまいます。社会人の場合は現在の仕事と、学生の場合は学業・サークル活動と両立しなければいけません。特に学生の場合は、新卒採用で時間的な制約もあるため、特にハードな活動になってしまいます。その結果、体力や精神力が消耗し、モチベーションの維持が難しくなり、うつ状態に陥りやすくなります。
私自身も学生の頃、地方から東京に行って就職活動を行うことも多く、移動による疲労などもありました。面接などのスケジュールも大学のテストと重なっていたりして、勉強と選考対策を並行して行わなければならず、肉体的につらい時期が続いていました。
就活うつの対策は
上記のような原因を踏まえて、就活うつの対策を紹介します。
自分の軸を持つ
就職活動においては先に企業を調べるよりも、自分自身の軸を明確にすることが大切です。「自分はどのような価値観を大切にしたいのか」「どのようなことに興味・関心があるのか」をきちんと言語化します。たとえば、「成長したい」「挑戦したい」「ワークライフバランスを大切にしたい」など人によって大切にしたい価値観は様々です。そのような価値観にきちんと優先順位をつけて、就職活動で達成すべき目標を明確にしましょう。
新卒就活・転職での自分の軸の見つけ方は下記記事も参考にしてください。
あなたも選ぶ立場である
前述の通り、企業の不採用通知というのは自分を否定されたような気がして非常につらいものです。しかし、就職活動というのは、人の優劣を評価するのではなく、企業と人との相性を見ているのです。そういう意味では、あなた自身も企業を選ぶ立場であるということを忘れてはいけません。
なので、選考での合否についてはあまり一喜一憂する必要はありません。落選したということは、ミスマッチを事前に防ぐことができたと捉えればいいのです。面接官も悪意を持って候補者を不採用にしているわけではありません。候補者の能力・資質では、この企業で気持ちよく働けないと思って不採用としているのです。
不採用の場合は、「選ばれなかった」という意識ではなく、「相性が合わなかった」という意識を心がけましょう。
企業に優劣は存在しない
就職活動においては周りの目線、就職偏差値といった指標によって、企業に優劣がつけられがちです。そのような優劣が、プレッシャーや劣等感を生み出しています。しかし、そもそも就職活動において、企業に優劣などは存在しないのです。結局は「企業が人に合うか、合わないか」また「人が企業に合うか、合わないか」なのです。
そのため、有名企業・大手企業だけでなく、中小企業、ベンチャー企業などにも目を向けて就職活動をすることをおすすめします。たとえば、成長を重視するのであれば、中小企業、ベンチャー企業の方が若手への裁量、挑戦機会が豊富にあります。経営層・マネジメント層とのコミュニケーションの取りやすさも中小企業の方が良い場合が多いです。
就職活動の最終的なゴールは、自分らしく、幸せに働ける場所を見つけることです。他人が決めた優劣に惑わされずに、自分にとって最適な企業を見つけることを心がけましょう。
私自身も最初は大手中心で就職活動を行っていましたが、中小企業・ベンチャーに視野を広げることで、選択肢が大きく広がりました。複数社から内定をいただくこともできて、自信にもつながりました。最終的には、社員数50名ほどのベンチャー企業に就職することに決定しましたが、最適な選択をしたと思います。
最も信頼できる情報は現場で働く人から得る情報
前述の通り、現代の就活環境は情報にあふれて何が正しいか判断することが難しいです。そのような中でも、最も信頼できる情報は現場で働く人から得る情報です。その企業で実際に働いている人がどのような人で、どのような業務に取り組んでいるか、やりがいは何かというのは、現場で働く人からしか得られません。
インターネット・SNSから得られた情報に振り回されず、説明会・座談会・面接などで現場で働く人と会って情報を得ることを心がけましょう。正しい情報を持っているということは、それだけで不安を解消することにつながります。
キャリアアドバイザーに相談する
就職活動で悩んでしまった場合は、人に相談することもおすすめです。ただし、友人に相談すると、逆に劣等感を感じる可能性もあります。親に相談するのも良いと思いますが、親が大手主義に陥っていたり、必要以上にプレッシャーをかけてくる可能性もあります。
そのため、プロのキャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。大学のキャリアセンターは就活の悩みについて、親身になって相談に乗ってくれます。また、人材会社のキャリアアドバイザーであれば、自己分析、選考対策のサポートだけでなく、あなたに合った企業を紹介してくれます。無料で利用できるサービスも多いため、是非検討してみてください。
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まとめ
以上、就活うつの原因と対策を解説して参りました。
就活うつは誰にでも起こりうる問題です。周囲からのプレッシャー、不採用の連続、肉体的な疲労など様々な要因が複合的に関連して発生することが多いです。うつっぽい症状を感じた場合、キャリアアドバイザーに相談することも含めて、一度就職活動の方針を見直してみることをおすすめします。
「データで分かる現代の働き方」では、現代における働き方とキャリアを実現するための手段を整理し、今働いている人、これから社会に出て働こうとする方に向けて、キャリア選択の指針となることを目的としています。
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