雇用形態には様々な種類がありますが、それぞれの特徴、メリット、デメリットをご存じでしょうか。
従来は正社員が一般的と考えられてきましたが、近年では個人の価値観が多様化しており、正社員以外の雇用形態を選択する人も徐々に増えてきました。雇用形態は給与や福利厚生だけでなく、働き方や今後のキャリアにも大きな影響を与えるので、慎重に選択する必要があります。
本記事では、雇用形態の種類、それぞれのメリット・デメリット、雇用形態を選ぶうえでのポイントを解説します。今後の就職・転職活動の参考にしてください。
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雇用形態とは
雇用形態とは、労働者と企業との間の雇用関係の形式を指します。
雇用形態は以下3つの観点によって区分されます。
- 正規雇用か、非正規雇用か
- 直接雇用か、間接雇用か
- フルタイムか、パートタイムか
正規雇用か、非正規雇用か
正規雇用とは、雇用期間に期限がない無期雇用の働き方で、原則として定年退職まで同じ会社で働き続けることができます。いわゆる「正社員」が正規雇用に該当します。
労働時間は基本的にはフルタイム(1日8時間、週40時間程度)で働きます。業務内容も会社の中核的な業務を担うことが多く、責任も比較的重い傾向にあります。結果として、給与は非正規雇用よりも高くなる傾向があります。
非正規雇用は、雇用期間に期限がある有期雇用の働き方で、正規雇用以外のすべての雇用形態を指します。具体的には、契約社員、パートタイム労働者(アルバイト)、派遣労働者が含まれます。
基本的には雇用期間の定めがあり、契約期間満了後は更新されなければ、企業との雇用関係はなくなります。契約社員や派遣労働者と同様にフルタイム(1日8時間、週40時間程度)で働くことが多いです。パートタイム労働者(アルバイト)などは正社員よりも労働時間が短い場合が多いです。業務内容は正社員と比べて責任の小さいものが多いです。
直接雇用か、間接雇用か
直接雇用とは、労働者が勤務先の企業と直接、雇用契約を締結する形式です。正社員、契約社員、パートタイム労働者(アルバイト)が該当します。
直接雇用はその名称の通り、企業が直接労働者を雇用し、指揮命令を行います。労働者は企業の社員として、指示された業務を遂行します。そして、給与や福利厚生は企業が労働者に対して直接提供します。
間接雇用とは、労働者が勤務先の企業と直接、雇用契約を締結せず、人材派遣会社などと雇用契約を締結する形式です。派遣労働者が該当します。
間接雇用では、労働者は人材派遣会社と雇用関係にありますが、派遣先の企業でその企業の指揮命令に基づき業務を遂行します。そして、給与や福利厚生は人材派遣会社が提供します。派遣先の福利厚生を受けることができるかは、派遣先企業との契約によります。
フルタイムか、パートタイムか
フルタイムとは、勤務先の会社で定める1週間の所定労働日数・時間で勤務する働き方を指します。一般的には1日8時間以内、週40時間以内で定められた労働時間で働きます。
フルタイムは必ずしも正社員に限らず、契約社員や派遣社員でも正社員と同程度の労働時間で働く場合は、フルタイムに該当します。
パートタイムは、フルタイムよりも短い時間で勤務する働き方を指します。労働時間や日数は企業や契約内容によって異なります。比較的時間の融通が利きやすいですが、収入はフルタイムよりも少ない場合がほとんどです。
雇用形態の種類
上記の区分に応じて雇用形態を大別すると、「正社員」「契約社員」「パートタイム労働者(アルバイト)」「派遣労働者」の4種類があります。以下ではそれぞれの特徴について解説していきます。
各雇用形態の人数は以下の通りです。
雇用形態 | 人数 |
---|---|
正社員 | 3,606万人 |
契約社員 | 394万人 |
パートタイム労働者(アルバイト) | 1,489万人 |
派遣労働者 | 156万人 |
雇用形態別の人数
下図は2002年からの雇用形態別の就業者数の推移を示しています。
全体
全体を通じて正社員が最も多く、パート・アルバイト、契約社員(嘱託社員)、派遣労働者の順に多くなっています。
2023年平均では、正社員が3,606万人、パート・アルバイトが1,489万人、契約社員(嘱託社員)が394万人、派遣労働者が156万人です。
男性
男性の就業者に関しては、全体を通じて正社員が最も多く、パート・アルバイト、契約社員(嘱託社員)、派遣労働者の順に多くなっています。一方で、パート・アルバイト、派遣労働者の数は全体との比較では少なくなっています。
2023年平均では、正社員が2,338万人、パート・アルバイトが354万人、契約社員(嘱託社員)が225万人、派遣労働者が61万人です。
女性
女性に関しては、2000年代では正社員の数が最も多かったですが、2010年代以降は正社員とパート・アルバイトの人数が近くなり、パート・アルバイトの人数が正社員の人数を上回るタイミングも出てきました。
2023年平均では、正社員が1,267万人、パート・アルバイトが1,134万人、契約社員(嘱託社員)が170万人、派遣労働者が95万人です。
正社員
正規雇用、直接雇用、フルタイムが主である雇用形態は正社員に分類されます。
正社員の特徴は以下の通りです。
雇用期間
正社員には雇用期間の定めがなく、原則として定年まで雇用が継続されます。
一方で、正社員雇用であっても試用期間満了後の契約解除、解雇事由による契約解除などの例外はあります。
労働時間
正社員は基本的には会社が定める所定労働時間に基づき、フルタイムで勤務します。
所定労働時間は会社によって差はありますが、1日8時間、週40時間(労働基準法32条)が一般的です。業務の状況に応じて残業が発生することがありますが、残業時間については割増賃金(残業代)が支払われます。
一方で、近年では短時間勤務の正社員制度(短時間正社員制度)を設けている企業も増えています。
業務内容
正社員は他の雇用形態と比較して、会社の中核的な業務を担うことが多く、責任も重い傾向にあります。具体的には、経営方針・事業戦略に関わる業務、部下の指導・育成、プロジェクト管理などの重要な業務を担います。
正社員は長期的な雇用を前提としているため、長期的なキャリアパスが描かれ、昇進・昇格の機会も多いです。また、専門的な知識・スキルを磨くことができます。
給与・賞与
正社員の給与は月給制が一般的で、安定した収入を得られます。また、給与は他の非正規雇用の雇用形態と比較して高くなることが多いです。
令和5年賃金構造基本統計調査によれば、正社員・正職員の月の平均賃金は336,300円、正社員・正職員以外の月の平均賃金は226,600円と109,700円の差があります。
分類 | 正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 |
---|---|---|
男女計 | 336,300円 | 226,600円 |
男 | 363,600円 | 255,000円 |
女 | 281,800円 | 203,500円 |
また、正社員には定期的に昇給の機会があり、経験や能力に応じて給与が増える可能性があります。また、業績や成果に応じて賞与(ボーナス)が支給されることもあります。
福利厚生
正社員については、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険に加入することが義務付けられています(法定福利厚生)。また、退職金制度や企業年金制度がある場合もあります。
企業によっては、住宅手当、家族手当、通勤手当、健康診断、資格取得支援制度、社員食堂などの各種手当が設けられています(法定外福利厚生)。法定外福利厚生は非正規雇用の従業員にも与えられることが多いですが、内容が正社員に比べて制限される場合もあります。
契約社員
契約社員とは、正社員と同様で直接雇用でフルタイム勤務ですが、雇用期間に期限が設けられている非正規雇用です。
契約社員の特徴は以下の通りです。
雇用期間
契約社員には雇用期間に定めがあり、数ヶ月から数年単位で契約を更新する形が一般的です。1回の契約による勤続期間は、一定の場合を除き3年が上限となります。更新の有無は企業の判断に委ねられます。
契約社員は同じ勤務先で契約社員として5年以上働き、所定の条件を満たせば、次の契約更新時に無期雇用へ変更を申し出ることができます。契約社員から無期雇用の申し出があった場合、雇用主はその人を契約期間の定めのない契約へと変更し、雇用する必要があります。
労働時間
契約社員の労働時間は雇用契約によって定められますが、正社員と同様のフルタイム勤務のことが多いですが、パートタイム勤務の場合もあります。
契約社員に関しても労働基準法が適用されるため、1日8時間、1週間で40時間の法定労働時間を超えて働かせることはできません。業務の状況に応じて残業が発生することがありますが、残業時間については割増賃金(残業代)が支払われます。
業務内容
契約社員の業務内容は、契約段階である程度定められており、特定のプロジェクトや業務に従事することが多いです。特定の専門的な知識・スキルを磨きやすい特徴があります。
責任の範囲は契約内容によって異なりますが、正社員と比べて軽い傾向にあります。契約更新や正社員登用を目指す場合は、契約期間内で高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。
給与・賞与
契約社員の給与は、月給制または時給制で支給されることが一般的です。契約期間が限定されていることから、給与額は正社員と比べて低い傾向にあります。また、昇給の機会は正社員よりも少ない傾向にあります。
企業によっては賞与(ボーナス)が支給されない場合もあり、支給されたとしても正社員と比べて少額であることが多いです。
福利厚生
契約社員については、一定の条件を満たせば、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険に加入することができます(法定福利厚生)。また、退職金制度や企業年金制度がある場合もあります。
企業によっては、住宅手当、家族手当、通勤手当、健康診断、資格取得支援制度、社員食堂などの各種手当(法定外福利厚生)が設けられている場合もありますが、正社員よりも限定されている場合が多いです。
パートタイム労働者(アルバイト)
パートタイム労働者(アルバイト)は非正規雇用に区分され、1週間の所定労働時間が正社員に比べて短い(パートタイム)である労働者を指します。
パートタイム労働者(アルバイト)の特徴は以下の通りです。
雇用期間
パートタイム労働者(アルバイト)の雇用期間は、雇用契約で定められています(有期雇用契約)。契約期間が満了した場合、契約更新、雇用終了、無期雇用への転換などの選択肢があります。
その意味では、パートタイム労働者(アルバイト)については契約社員と法律上の差異はありません。
労働時間
パートタイム労働者(アルバイト)の労働時間は、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用される通常の労働者(一般的には正社員)よりも短いです。一般的に、フルタイムで働く従業員を契約社員、パートタイムで働く従業員をパートタイム労働者(アルバイト)と区別します。
労働時間や日数は、企業や業務内容によって自由に設定できます。例えば、週3日、1日5時間勤務など、短時間勤務が可能です。日中の仕事だけでなく、深夜・早朝の仕事も多く、自分の予定に合わせた仕事を選択することができます。
もちろん、正社員と同様で法定労働時間の制限、時間外労働に対する割増賃金が適用されます。
業務内容
パートタイム労働者(アルバイト)は、一般的には、補助的な業務を担うことが多いです。具体的には、接客、販売、軽作業、事務など、様々な職種があります。
基本的に求められるスキルはそれほど高くはないため、自分の興味や志向に合った仕事を選ぶことができます。責任の範囲は、業務内容や契約によって異なりますが、正社員と比較しては小さいです。
給与・賞与
パートタイム労働者(アルバイト)の給与は時給制が一般的です。時給は地域・職種ごとに最低賃金が定められており、その最低賃金を下回ることはできません。例えば、東京では最低賃金は1,113円と定められています(厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)。
正社員と比べて昇給の機会は少なく、賞与や退職金もない場合が多いです。
福利厚生
パートタイム労働者(アルバイト)でも、一定の条件を満たせば、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険に加入することができます(法定福利厚生)。
法定外福利厚生についても会社によっては提供される場合もありますが、一般的には、正社員よりも限定される場合が多いです。
派遣労働者
派遣労働者とは、労働者が人材派遣会社と労働契約を結んだ上で、派遣先企業で指揮命令を受けて働く労働者です。
派遣労働者の特徴は以下の通りです。
雇用期間
派遣労働者は、まず派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働くことになります。
雇用期間は派遣契約の期間によって定められますが、契約期間は3ヶ月や6ヶ月など比較的短いことが多いです。契約期間満了後、派遣先企業の状況や本人の希望によっては、契約が更新される場合もあります。ただし、派遣先企業への過度な依存を防ぐため、3年を超えて同一の派遣先企業で働くことはできません。
また、派遣期間(最大6ヶ月)が満了した後、直接雇用に移行する紹介予定派遣という制度もあります。
労働時間
派遣労働者の労働時間は、原則として派遣先企業の従業員と同様になります。派遣契約によってはパートタイムの仕事もあり、そのような働き方を希望する場合は、人材派遣会社と相談を行いながら仕事を選択します。
派遣労働者も労働基準法が適用されるため、1日8時間、1週間で40時間の法定労働時間を超えて働くことはできません。業務の状況に応じて残業が発生する場合がありますが、残業時間に対しては割増賃金が支払われます。
業務内容
派遣労働者の業務内容はあらかじめ派遣契約で定められており、特定の業務を担当することが多いです。事務、IT、製造、販売、接客など、幅広い職種があり、専門的なスキルや資格を活かせる仕事もあります。
業務は派遣先の企業の指揮命令に従って行います。正社員と比べて業務遂行に関する裁量は少ない傾向にあります。また、責任も正社員に比べて軽い傾向にあります。
給与・賞与
派遣労働者の給与は、派遣会社から支払いを受けることになります。
時給制が一般的で、時給は職種、経験、スキル、勤務地などによって異なります。参考までに令和4年派遣労働者実態調査では、全体の平均は1,510円でした。
派遣労働者の賃金に関してもパートタイム労働者と同様で最低賃金を下回ることはできません。
賞与(ボーナス)は、派遣会社によっては支給される場合もあります。
福利厚生
派遣労働者の福利厚生は、原則として人材派遣会社の内容に従います。社会保険、雇用保険などの法定福利厚生は、一定の条件を満たすことによって加入することができます。
派遣契約の内容によっては、派遣先企業の法定外福利厚生も提供される場合もありますが、正社員よりも限定される場合が多いです。
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雇用形態別のメリット・デメリット
雇用形態別の特徴をまとめると下図のようになります。
さらに雇用形態別のメリット・デメリットを整理すると以下のようになります。
従業員目線のメリット・デメリット
それぞれの雇用形態について従業員目線のメリット・デメリットを整理すると下表の通りになります。
雇用形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
正社員 | 給与が高く安定している 賞与・退職金が支給される 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの福利厚生が充実している 研修・教育制度が充実している 社会的信用が高くクレジットカード・ローンの審査が通りやすくなる | 繁忙期には残業・休日出勤が発生する 拘束時間が長い 転勤や異動の辞令が出た場合、原則断ることはできない |
契約社員 | 業務内容が契約で決まっているため、自分のスキルや経験を活かせる仕事を選択することができる 1回の契約が最長で3年間なので、様々な企業で働くことができる | 契約期間が満了すると契約解除となることもあり、雇用が不安定 給与が正社員と比べて少ない 賞与や退職金がない、あるいは、正社員に比べて少ない |
パートタイム労働者 | 自分の希望の曜日や時間に働くことができる 求人が多く、希望の仕事を選択しやすい 未経験、学歴不問など応募資格の制限が少ない | 時給制のため正社員と比べて稼ぐことが難しい 賞与や退職金がないことがほとんど 経営状態によっては働ける時間が減ることもあるので、収入が不安定 |
派遣労働者 | 自分のスキルや経験を活かせる仕事を選択することができる 勤務地・勤務時間を選択することができる | 契約期間が満了すると契約解除となることもなり、雇用が不安定 給与が正社員と比べて少ない 1つの企業で働くことができるのは原則3年であるため、キャリアアップしづらい |
企業目線のメリット・デメリット
それぞれの雇用形態について企業目線のメリット・デメリットを整理すると下表の通りになります。
雇用形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
正社員 | 長期的に就業してくれる人材を確保することができる 従業員の帰属意識や責任感を高めることができる 重要な仕事を任せることができる | 雇用期間が長くなればなるほど、給与や賞与、研修・教育費用など人件費が高くなる 正当な理由がない限り解雇することができない |
契約社員 | 福利厚生、賞与などが正社員より少ない、制度上ない場合もあるため、費用の負担が少ない 経営状態に合わせて人員をコントロールすることができる | スキルの高い人材を確保することが困難 正社員のように責任のある仕事を任せられない 契約が終了すると、新たな人材を確保し、一から教育する必要がある |
パートタイム労働者 | 正社員に比べて給与が低いため、人件費を抑えることができる 繁忙期のみパートタイム労働者を採用することで、業務量に合わせた人員配置が可能 | 短時間勤務であるため、正社員に比べて教育・訓練にコストがかかる ライフスタイルの変化などにより、離職しやすい傾向がある |
派遣労働者 | 必要な時に必要な人材を確保することができる 社会保険等の支払は派遣元である派遣会社が行うため、負担がない | 契約が終了すると、新たな人材を確保し、一から教育する必要がある 派遣料金が発生するため、コスト負担が大きい |
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雇用形態の選び方
雇用形態を選択する上では、以下のポイントが大切です。
ライフスタイルとキャリアプランを明確にする
まず、自分自身のライフスタイルやキャリアプランを明確にします。
ライフスタイルに関しては、重要とする価値観(仕事、家族、趣味など)、働きたい時間・場所、生活費・貯蓄などを明確にします。その上で、優先順位をつけて絶対に実現したい条件を明らかにします。
キャリアプランに関しては、将来的に築きたいキャリア、身につけたいスキル、積みたい経験などを明確にします。
その上で、長期的な視点でそれらをどのように両立するかを考える必要があります。中には妥協しなければならない条件もあるかもしれません。
例えば、ライフスタイルを重視し、自分の好きな時間・好きな場所で働きたいという場合は、パート・アルバイトの一つの選択肢として考えられます。また、将来的には管理職を目指したいという場合は正社員が適しているかもしれません。
ライフスタイルとキャリアプランのどちらかに偏るのではなく、両者のバランスを取れるような雇用形態を選択することが重要となります。
雇用形態ごとのメリット・デメリットを理解する
雇用形態ごとのメリット・デメリットを理解することは、自分に合った働き方を選ぶ上で非常に重要です。
それぞれの雇用形態には、特徴や働き方が異なります。メリット・デメリットを理解することで、自分の希望や状況に合わない選択をしてしまうことを防ぎ、後悔のない選択ができます。
正社員は、雇用が安定し、給与や福利厚生も充実しているのが一般的です。しかし、長時間労働や転勤があるケースが多いというデメリットもあります。
パート・アルバイトは、労働時間が限定されているため、自分の時間を確保しやすいというメリットがあります。しかし、給与が低かったり、社会保険に加入できなかったりするデメリットもあります。
契約社員は、正社員よりも雇用が不安定ですが、専門性を活かせる仕事に就きやすいというメリットがあります。
派遣社員は、雇用期間が限定されているため、将来の計画が立てにくいというデメリットがあります。しかし、様々な職種を経験できるというメリットもあります。
しかしながら、上記はあくまで一般的な傾向であり、企業や職種によって条件は異なるため、後述するように
自分に合った求人を探す
上記に記載した雇用形態ごとの特徴はあくまで一般的なものであるため、求人を探す段階で条件についてきちんと確認する必要があります。例えば、以下のような点に注意する必要があります。
- 「正社員」と記載されていても、 試用期間中の雇用形態や条件が異なるケースがある
- 「アルバイト・パート」と記載されていても、正社員登用制度がある場合がある
- 「契約社員」でも契約期間や更新の有無、正社員登用制度の有無など、企業によって条件が異なる
- 「派遣社員」の場合、派遣会社との契約内容や派遣先の労働条件によって、待遇が異なる場合がある
- 「業務委託」や「フリーランス」と記載されている場合、雇用契約ではないため、労働基準法の保護を受けられない可能性がある
求人情報には、雇用形態や労働時間、給与などの条件が記載されていることが一般的ですが、不明点などについては面接などにおいてしっかりと質問することが大切です。
必要に応じてキャリアコンサルタントに相談する
上記を踏まえても自身に合った雇用形態に悩む場合は、キャリアコンサルタントに相談するのも効果的です。
個人のキャリア形成や職業選択に関する相談に乗り、アドバイスや情報提供を行う専門家であるため、あなたの価値観やキャリアプランを踏まえたアドバイスをしてくれることが期待できます。
例えば、ハローワークでも無料のキャリアコンサルティングサービスを提供しています。
また、民間のキャリアコンサルティング会社に相談することで、より専門的なアドバイスやサポートを受けられます。
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雇用形態に関する近年のトレンド
雇用形態のトレンドは、社会の変化や働き方改革の推進、個人の価値観の多様化などを受けて、大きく変化しています。ここでは、近年の主なトレンドについて詳しく解説します。
多様化と柔軟化
従来の正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトといった雇用形態に加え、フリーランス、業務委託、ギグワーカーなど、多様な働き方が広がっています。
- フリーランス:企業や組織に属さず、独立して働く個人事業主。専門スキルを活かして、プロジェクト単位で仕事を受注するケースが多い。
- 業務委託:企業から特定の業務を請け負い、成果物に対して報酬を受け取る。雇用契約ではないため、労働時間や場所の自由度が高い。
- ギグワーカー:インターネット上のプラットフォームを通じて単発の仕事を請け負う。隙間時間を活用して働きたい人に向いている。
また、テレワークやリモートワークの普及により、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が可能になりました。フレックスタイム制や時短勤務など、個人の事情に合わせて労働時間を調整できる制度も導入されています。
正規雇用と非正規雇用の境界の曖昧化
従来は、正社員は安定した雇用と充実した福利厚生が保障される一方で、非正規雇用は雇用が不安定で待遇も低いというイメージがありました。しかし、近年では、以下の様な変化が見られます。
- 非正規雇用の待遇改善:契約社員や派遣社員でも、正社員と同様の仕事内容や責任を担うケースが増え、それに伴い待遇も改善される傾向にあります。
- 正社員の働き方の多様化:一方で、正社員であっても、雇用期間や労働時間の柔軟性が求められるようになってきています。副業や兼業を認める企業も増えています。
- ジョブ型雇用の導入:仕事内容や求められるスキルに応じて処遇が決まるジョブ型雇用を導入する企業が増えています。これにより、非正規雇用でも、正社員と同等の責任や待遇を得られる可能性が高まっています。
リスキリング・リカレント教育の重要性
技術革新や社会の変化が加速する中で、常に新しいスキルを学び続ける「リスキリング」や、社会人になってから学び直す「リカレント教育」の重要性が高まっています。
- 企業のリスキリング支援:多くの企業が、従業員のリスキリングを支援するプログラムを導入しています。
- 個人のキャリア自律:個人が主体的に学び、スキルアップすることで、変化の激しい時代に対応できるようになります。
自分自身のスキルや経験を磨くことによって、雇用形態や職の選択肢の幅が広がります。
まとめ
以上、雇用形態の種類、メリット・デメリット、雇用形態別の人口、雇用形態の選び方、近年のトレンドについて解説してまいりました。
従来は正社員が一般的と考えられていましたが、働き方の多様化により、様々な雇用形態が選択肢として増えてきているように感じます。自身に合った雇用形態を選択する上では、ライフスタイルとキャリアプランをいま一度見直すことが重要となります。転職・就職を考えている方は、職を探すにあたって、是非本記事を参考にしてみてください。
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