これさえ知ればOK!仕事で役立つビジネスフレームワーク8選、オリジナルのフレームワークを活用する注意点も紹介

  • URLをコピーしました!

ビジネスにおいては課題を整理したり、打ち手を検討したりする際には、思いついたまま考えるよりフレームワークを活用することで、網羅的に整理することができます。また、フレームワークに沿って説明することで、聞き手にも納得感を与えることができます。

本記事では、特に仕事で役立つビジネスフレームワークを8つ紹介します。また、オリジナルのフレームワークを活用する際の注意点も解説していきます。

デキる社員の100のコンピテンシー」では、マインドセットとスキルセットに分けて、どのような時代、どのような場所においても通用するコンピテンシーを紹介しています。

マインドセットでは、仕事に対する考え方や信念、価値観などの、思考や行動の基盤となる心の持ち方を解説しています。また、スキルセットについては、仕事を遂行するために必要な能力・技術を解説しています。

目次

仕事で役立つビジネスフレームワーク8選

物事を分けて考えるためには、分けるための切り口が重要になります。オリジナルの切り口を考えても良いのですが、そのような切り口は大抵、他者には伝わりづらいです。そのため、先人たちが考え、社会に広く普及しているフレームワークを活用することがおすすめです。

フレームワークを使うことで、一から切り口を考える手間が省ける、また、漏れなく重複なく整理することができます。たとえば、有用なフレームワークとして以下のようなものがあります。逆に言うと、これ以外のフレームワークは使用頻度が低いため、あまり覚えておく必要はありません。

As is / To be

「As is / To be」は現状(As is)とあるべき姿(To be)を整理するためのフレームワークです。課題を定義する際には、まず理想とするTo be像を描き、As isと比較してギャップを分析します。その上で、ギャップを解消するためにどのような課題に取り組み、解決を図っていくかを検討します。

As is / To beの例

現状(As is)あるべき姿(To be)
月間売上:6,000万円

女性客の割合:25%

従業員数:5人

メニュー数:25品
月間売上:8,000万円

女性客の割合:30%

従業員数:9名

メニュー数:30品

5W2H

「5W1H」はWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)、How~(どのくらい)の7つの要素から情報を整理するフレームワークです。汎用的なフレームワークで、課題に対して情報を整理する際、会議でネクストアクションを合意する際などに用いることができます。

5W2H内容
When(いつ)日時、期間、期限、時期など
Where(どこで)場所、位置、空間的な条件など
Who(誰が)担当者、相手方、顧客など
What(何を)実施事項、成果物、資源など
Why(なぜ)理由、原因、根拠など
How(どのように)方法、手段、使用ツールなど
How~(どのくらい)量、金額、人数など

たとえば、会議で「レストランの売上を上げる」という旨の目標を合意したとします。合意事項をより明確にするために5W2Hのフレームワークを活用してみます。

5W1H内容
When(いつ)2024年10月までに
Where(どこで)練馬店舗
Who(誰が)練馬区エリアマネージャー
What(何を)店舗オペレーションの改善
Why(なぜ)顧客満足度を向上し、リピーターを増やすため
How(どのように)毎週練馬店舗に訪問し、接客、調理、配膳、会計などのオペレーションに問題がないか確認し、改善を指導する
How~(どのくらい)売上+10%増(1,000万円)

5W2Hのフレームワークを活用することで、検討に抜け漏れがないかを確認することができます。

3C

「3C」はCustomer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの要素から市場環境を分析するフレームワークです。3C分析を行うことで、新たな市場機会の発見やマーケティング戦略の立案に役立ちます。

3C内容
Customer(顧客)市場規模、顧客ニーズ、購買行動、顧客セグメント、顧客満足度など
Competitor(競合)競合企業、競合の強み・弱み、競合の商品・サービス、競合のマーケティング戦略など
Company(自社)自社の強み・弱み、自社の商品・サービス、自社のマーケティング戦略、自社の経営資源など

注意が必要なのは、3Cはあくまで分析の観点を示すものであり、それぞれの内容はさらに他のフレームワークを活用して分析する必要があるということです。たとえば、競合の強み・弱みであれば下記に紹介する4Pを活用してみるなど、工夫が必要になります。

4P

「4P」とはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素からマーケティング戦略を検討するためのフレームワークです。

4P内容
Product(製品)提供している商品・サービス、特徴、機能、人気の理由など
Price(価格)商品・サービスの価格、割引の有無など
Place(流通)顧客への提供ルート(店舗、ECサイト、代理店など)、アプリの有無など
Promotion(プロモーション)営業活動、広告、PR、ユーザーとのコミュニケーション方法など

4Pを用いて牛丼チェーン店に関して競合と自社を比較する場合、以下のように整理することができます。

4P自社競合
Product(製品)牛丼の他、親子丼、からあげ丼などのメニューを提供。丼メニューがほとんどで、男性客が多い。牛丼の他、健康的な定食メニューを提供。女性客にも人気を集めている。
Price(価格)牛丼並盛:500円
その他メニューも含めた価格帯は500~1,000円
牛丼並盛:430円
その他メニューも含めた価格帯は400~900円
Place(流通)店舗内での飲食、持ち帰り、デリバリーが可能。デリバリーではUber eatsを利用。店舗内での飲食、持ち帰り、デリバリーが可能。デリバリーではUber eats、出前館、menuを利用。
Promotion(プロモーション)アプリを提供し、定期的にクーポンを配信。アプリを提供し、定期的にクーポンを配信。有名俳優を使ったCMなども配信

このように自社と競合に関して4Pを組み合わせて整理することで、自社の強み・弱みを明確にすることができます。

PEST

「PEST」とはPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの要素から外部環境を分析するフレームワークです。現状のマクロ環境と今後予想される動向について、自身の事業領域と関連のあるものを整理していきます。

PEST内容
Politics(政治)法律、政策、政党など
Economy(経済)マクロ経済指標、消費動向、産業構造など
Society(社会)人口、文化、社会問題など
Technology(技術)技術革新、インフラなど

たとえば、ゲーム業界に関してPESTで整理すると以下のようになります。

PEST内容
Politics(政治)ゲームの年齢制限

ガチャの景品表示法の規制

ゲームシステムに関する特許の規制
Economy(経済)可処分所得の低下によるゲームの買い控えリスク

円安による原材料費の高騰
Society(社会)少子高齢化によるプレイヤー年齢の変化

スマホ普及によるスマホゲームの流行

ソーシャルゲームへの過剰な課金
Technology(技術)クラウドゲーミングサービスの登場

メタバースの活用

細かい点まで書き出してしまうとキリがないので、特に自社への影響度の大きい要素を書き出していきます。ここから課題や打ち手を検討するには下記のSWOT分析と組み合わせることも効果的です。

SWOT分析

SWOT:Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの要素から内部・外部環境を分析を行うフレームワークです。SWOT分析を使用する際は注意が必要で、4つの観点で整理しても結局何が言いたいのかということに陥ってしまう可能性があります。

たとえば、スポーツジムに関してSWOTで整理しましたが、ここから示唆を得ることはできません。

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)
駅から近い
マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
弱み(Weaknesses)
月会費が高い
施設が狭い
営業時間が限られている
外部環境機会(Opportunities)
人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
フィットネス業界の就業者の増加
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
マナーの悪い客の増加

SWOT分析の内部環境・外部環境においてそれぞれ整理の軸を定めることによって、一定程度網羅性を持って要素を洗い出すことができます。ここでは、前述した4PとPESTを用いています。

スクロールできます
好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
Product(製品)マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
施設が狭い
営業時間が限られている
Price(価格)コストベースで見た場合、適切な価格設定月会費が高い
Place(流通) 駅から近い駐車場がない
Promotion(プロモーション)有名芸能人を使ったテレビCMネット広告は不十分
外部環境機会(Opportunities)脅威(Threats)
Politics(政治)フィットネス業界への補助金の増加開店までの許可申請のハードルが高い
Economy(経済)フィットネス業界の就業者の増加近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
Society(社会)人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
マナーの悪い客の増加
Technology(技術)ジムで使えるヘルスケア系のアプリ登場オンラインフィットネスなど自宅でトレーニングできるサービスの増加

このように整理することによって、どのような観点で課題にアプローチすべきか、どのようなビジネス機会を活用すべきか示唆を得ることができます。その他、SWOT分析の活用方法については下記記事も参照ください。

コンサルの学び場
上司を納得させるためのSWOT分析の使い方を解説 -SWOT分析は役に立たない? | コンサルの学び場 この記事のサマリ SWOT分析は非常に有名なフレームワークですが、使い方を誤ると役に立たないフレームワークとなる SWOT分析の問題点とその解消方法は以下の通り整理される...

AIDMA

AIDMA:Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの要素から消費者行動を分析するフレームワークです。各フェーズにおける顧客の不満やニーズを整理することによって、どのような打ち手を取るべきか検討することができます。

たとえば、化粧品を購入する際の消費行動をAIDMAに分けて整理を行います。各フェーズにおいて自社の顧客がどのようなニーズを抱えているか、不満を抱えているかを記載し、商品購入まででどこにボトルネックがあるかを特定します。

AIDMA顧客の状態顧客のニーズ
Attention(注意)CM、広告などを見て、新しい化粧品を知る目新しく、興味を引く広告

有名タレントによるCM
Interest(興味)化粧品の広告を見て、その効果や特徴に興味を持つ化粧品の商品情報

実際の使用感のレポート
Desire(欲求)化粧品の効果や特徴を知り、自分の肌悩みを解決してくれると期待する自分に合った化粧品の提案

店頭で実際に試してみる
Memory(記憶)化粧品の広告を繰り返し見ることで、商品名を覚えるアプリでの広告配信

サンプルの提供
Action(行動)店頭で化粧品を購入する購入しやすい店舗

アフターサービス

AISAS

「AISAS」とは、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5つの要素からECなどにおける消費者行動を分析するフレームワークです。AIDMAをカスタマイズしたフレームワークで、オンライン上で商品を見つけ、購入するような商品を扱う企業に向いています。

たとえば、オンラインで化粧品を購入する際の消費行動をAIDMAに分けて整理を行います。AIDMA同様、各フェーズにおいて自社の顧客がどのようなニーズを抱えているか、不満を抱えているかを記載し、商品購入まででどこにボトルネックがあるかを特定します。

AISAS顧客の状態顧客のニーズ
Attention(注意)Web広告などを見て、新しい化粧品を知る目新しく、興味を引く広告

よく利用するサイト、アプリ上での広告
Interest(興味)インフルエンサーのレビューなどを見て、その効果や特徴に興味を持つ化粧品の商品情報

実際の使用感のレポート
Search(検索)検索エンジンで商品名、ブランド名、効果などを検索する商品情報などがわかりやすく記載されたWebサイト

他の商品との比較ができる口コミサイト
Action(行動)オンラインショップで化粧品を購入する商品を簡単に購入できるECサイト

利用可能な様々な決済手段
Share(共有)SNSで商品の写真や使用感を投稿するSNS投稿で特典がもらえるなどのインセンティブ

その他フレームワークの活用

二項対立の活用

一般的なフレームワークを活用する他、二項対立で考えることも有効です。二項対立とは、互いに相反する、または対照的な二つの概念のことです。

  • あり・なし
  • 可・不可
  • 完了・未了
  • 男性・女性
  • 日本人・外国人
  • 労働者・非労働者
  • 社内・社外
  • 収益・費用
  • 固定費・変動費
  • イニシャルコスト・ランニングコスト
  • ハード・ソフト
  • 内製・外注

二項対立は限りなく、漏れなく、重複なく整理できる枠組みで、これを組み合わせることによって、納得感のある分類を行うことができます。

オリジナルのフレームワークを作成する上での注意点

オリジナルのフレームワークを作成する際は、漏れなく重複なく整理できることを意識します。そのため、様々なケースをフレームワークに当てはめて、本当に使えるフレームワークなのか検証しましょう。注意点としては、あまり要素が多いと分解が難しくなり、使用しづらくなります。一般的なフレームワークと同様に要素は5つ以内を目安に作成することを意識しましょう。

まとめ

以上、仕事で役立つビジネスフレームワーク8選をご紹介しました。

フレームワークは情報を整理する上で有用ですが、そこから何か示唆を得るためにはきちんと思考を働かせることが大切です。整理した情報から「何が言えるか」、「なぜそう言えるか」という点を議論しながら、取り組むべき課題や対策の解像度を上げていきましょう。

デキる社員の100のコンピテンシー」では、マインドセットとスキルセットに分けて、どのような時代、どのような場所においても通用するコンピテンシーを紹介しています。

マインドセットでは、仕事に対する考え方や信念、価値観などの、思考や行動の基盤となる心の持ち方を解説しています。また、スキルセットについては、仕事を遂行するために必要な能力・技術を解説しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コンサルティングファームにおいて様々な業界で経験を積み、人材領域で業界の知識を活かしたく、本サイトを運営しております。すべての人が適職で活躍できるような社会を実現するため情報提供をして参ります。

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次