2023年の人手不足倒産が過去最多ペースの145件!人手不足倒産の状況、主な原因、対策について解説

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東京商工リサーチによれば、2024年上半期「人手不足」関連倒産は145件、過去最多のペースで増加しています。

株式会社東京商工リサーチ
2024年上半期「人手不足」関連倒産145件 調査開始以降で最悪ペース、年間最多を更新の可能性も | TSRデータ... 「人手不足」関連倒産が過去最多のペースで推移している。2024年上半期(1-6月)の「人手不足」を一因とする倒産は145件(前年同期比116.4%増)と急増した。調査を開始し...

労働力人口が減少している近年においては、多くの企業が人手不足による倒産のリスクを抱えているといえます。特に中小企業のように経営基盤が弱い企業に関しては、そのリスクがより大きくなります。人手不足倒産を防ぐためには、様々な対策を検討することが重要となります。

本記事では、人手不足倒産の推移、主な原因、対策について解説していきます。

目次

人手不足倒産とは

人手不足倒産とは、企業が事業を運営する上で必要な人員を確保できず、事業継続が困難になることで倒産に至ることを指します

黒字企業でも人手不足により、倒産する可能性があります。特に中小企業や零細企業では、少人数で会社を経営していることが多く、人材の流出・採用難の影響を受けやすく人手不足倒産のリスクが高くなります。

人手不足倒産の要因

人件費高騰

人件費が高くなることによって収支のバランスが崩れたり、新規の採用が困難になったりし、倒産に至ってしまうことがあります。近年、最低賃金が年々上昇しており、経営資金の乏しい中小企業の経営を圧迫しています。また、人材確保のため企業間で賃上げ競争が起こり、給与を上げなければ人材確保が難しいという状況が発生しています。

従業員退職

従業員が退職することにより事業を運営するための人手が不足して倒産に至ってしまうことがあります。あらかじめ予想できる定年退職であればある程度対策はできますが、突然の退職が増加する場合もあります。特に事業の中核を担う社員が退職すると事業を継続することが困難となります。

近年では、給与、パワハラ、ワークライフバランスなど退職理由が多様化しており、様々な対策が必要となります。もちろん、退職は人の問題であるため、100%防ぐことはできません。そのため、退職を見込んで業務の効率化や属人化の解消を同時に進めることも重要です。

求人難

求人難とは、事業を運営するための人材不足を解消しようと人材を募集しても、思うように人が集まらないことを指します。人手不足倒産の中でも多くを占める要因であり、少子高齢化により労働者人口が減少している近年では特に増加傾向にあります。

建設業・運輸業などの低賃金、長時間労働、肉体労働といったきついイメージのある業界においては、特に人が集まりにくくなっています。

人手不足倒産の状況

人手不足倒産の推移

2013年以降、人手不足は年々増加していましたが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停滞し、需要が低減したことで一時的に人手不足が解消されました。

一方で、2023年には人手不足倒産が最高値を記録し、2024年1~6月では145件と過去最多のペースで推移しています。現状のペースでは、2023年の件数を超えることが確実視されています。

「人手不足」関連倒産の推移

要因別では、求人難が58件と最も多くなっており、人件費高騰が47件従業員退職が40件と続きます。

産業別人手不足倒産

産業別では、サービス業他が最多で46件、次に建設業で39件、次に運輸業で29件となっています。

産業別「人手不足」関連倒産(2024年1~6月)

建設業・運輸業では従来より、長時間労働できついイメージがあり、人手不足を課題として抱えていましたが、2024年4月1日以降、時間外労働時間の上限規制が適用され、さらに人手不足が深刻になることが考えられます。運輸業に関してはECの発展に伴い物流量が増加する一方で、ドライバーが減少しているという状況があります。

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人手不足倒産の対策

業務の効率化・属人化の解消を進める

労働力人口が減少している現代においては、人材不足の課題は避けては通れません。人を採用することや人をとどめておくことは難しい場合があります。そのため、まずは現状の業務を効率化させ、限られた人数でも業務を遂行できるようにすることが大切です。

業務を効率化するためには、既存の業務プロセスを見直すことの他、システムを導入したり、AI・デジタルを活用することが効果的です。近年では、生成AIを業務に活用する事例も増えてきています。生成AIでは、今まで人が担っていた文章作成、誤りの検知、問い合わせ対応といった業務も代替することができるため、人材をよりコア業務へと移すことも可能となります。

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また、効率化と同時に業務の属人化を解消することが重要です。限られた人しか業務の進め方が分からないといった状態があると、その人が退職してしまうと一気に業務が停滞してしまうリスクがあります。そのため、業務内容をマニュアル化したり、定期的に業務をローテーションしたりすることで、様々な人が業務を遂行できる状態をつくることが重要となります。

働きやすい環境の提供

人手不足倒産を防ぐためには、まず今いる社員が離職しないような仕組みをつくることが重要となります。

賃金を増やす、残業時間を減らすといった取組はもちろん重要ですが、柔軟な働き方を実現できる環境を整えることも重要となります。例えば、フレックスタイム制、テレワークを導入することで、従業員が自由な時間、場所で働けるようにします。

また、自社での賃上げが難しい企業の場合、従業員の収入を補てんするという観点で、副業・兼業を認めることも重要となります。2022年では51.8%の企業が副業・兼業を認める制度があるとしており、副業・兼業がかなり普及しています。

上記のような従業員にとって働きやすい環境が整っている企業を認定する制度として、ホワイト企業認定という制度があります。ホワイト企業認定を取得することで、離職率の低下、求人応募の増加といった効果を実現することができます。ホワイト企業認定については下記記事をご覧ください。

採用活動の多様化

求人難の課題を抱えている企業に関しては、採用活動を多様化させることも大切です。

求職者が転職時に利用するサービスとしては、転職サイトや転職エージェントが一般的でしたが、近年ではSNSを利用する求職者もいます。その他、リファラル採用(自社の社員から人材を紹介してもらう)アムルナイ採用(過去の離職者を再び採用する)といった方法の利用も増えています。現状の採用方法で上手くいっていない場合は、他の採用法を検討してみるのも良いでしょう。

転職時に利用したサービス(2023年転職者)
マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」

外部人材の活用

自社内の正社員だけでは業務遂行が難しい場合は、フリーランス、派遣社員の活用や業務委託を行うなど、外部の人材を活用する方法もあります。正社員とは異なり、長期的な就業は見込めないことが多いですが、即戦力となる人材を確保することが期待できます。また、必要な期間だけ利用することもできるため、採用コストや人件費を抑えることができます。

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まとめ

以上、人手不足倒産の推移、主な原因、対策について解説して参りました。

人手不足倒産に関しては様々な要因がありますが、労働力人口が減少している現代においてはすべての要因に対してあらかじめ対策を検討することが重要となります。特に中核社員が退職すると業務が一気に停滞するリスクがありますので、業務自体を見直すことが必要となります。また、自社内で解決できない場合は外部の人材を活用することも有効な手段です。

人手不足に悩んでいる企業様は本記事も参考に対策を検討してはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

コンサルティングファームにおいて様々な業界で経験を積み、人材領域で業界の知識を活かしたく、本サイトを運営しております。すべての人が適職で活躍できるような社会を実現するため情報提供をして参ります。

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