近年、SaaS企業の増加に伴い、フィールドセールスの求人が増加しています。比較的高い年収を実現できる職種として、注目を集めています。新しい職種として興味のある方も多いのではないでしょうか。
フィールドセールスはインサイドセールスから引き継ぎ、顧客への提案を通じて契約締結(受注)に導く役割があります。そのため、高いコミュニケーション能力、問題解決能力などが求められます。
本記事では、フィールドセールスの年収、業務内容、スキル・資質、転職活動のポイント、おすすめの転職サービスについて解説していきます。
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フィールドセールスとは
フィールドセールスとは
フィールドセールスはインサイドセールスが設定した商談において、顧客と交渉・契約の締結を行います。インサイドセールスの説明や提案により、サービス利用意向の高まった顧客に対して更なる課題・ニーズの深掘りを通じて提案を行います。
基本的には、従来の”営業”と呼ばれる職種と同じですが、インサイドセールスがナーチャリング(顧客育成)を行った顧客に対して提案するので、受注確率は高くなります。
フィールドセールスとインサイドセールスの違いは
フィールドセールスとインサイドセールスは営業活動を行うという点で共通していますが、以下のような観点で違いがあります。
観点 | フィールドセールス | インサイドセールス |
---|---|---|
ミッション | 顧客との関係構築と契約締結 | 質の高い見込み顧客の創出と育成 |
視点 | 短期的な視点で契約を獲得する | 中長期的な視点で顧客を評価し、見込み顧客を育成する |
業務内容 | 商談 クロージング(契約締結) 契約処理 アフターフォロー など | アポイント獲得 リードナーチャリング(育成) 顧客データ管理 |
営業活動の形態 | 顧客を直接訪問し、対面でコミュニケーション | 電話、メール、オンライン会議システムなど非対面でコミュニケーション |
KPI | 受注件数 売上高 顧客満足度 など | アポイント獲得数 商談設定率 リードナーチャリング効率 など |
フィールドセールスは基本的には顧客先へ訪問し、対面で営業活動を行いますが、近年ではオンライン会議ツールを用いたオンライン商談も増えています。インサイドセールスは、商談に至るまでの初期段階を担当し、フィールドセールスはインサイドセールスから引き継いで、見込み顧客との商談からクロージング(契約締結)など、商談以降を担当します。
フィールドセールスの転職市場動向
近年、フィールドセールスのニーズが高まっています。
リクルートによれば、フィールドセールスの求人は2019年から2022年までに4.70倍に拡大しています。
SaaSビジネスの拡大
SaaS(Software as a Service)に代表されるサブスクリプションモデルの企業が増加し、サービス利用見込みの高い顧客と商談を行うフィールドセールスを拡充する企業が増加してきました。SaaS企業では、インサイドセールスの拡充により商談機会が増加し、交渉や契約のクロージングを専任で行うフィールドセールスのニーズが高まっています。
競争環境の激化と顧客ニーズの多様化
近年、SaaS企業が増加しており、競争環境が激化しています。そのため、顧客のニーズ・課題を深く理解し、適したサービスを提案するフィールドセールスの存在意義が大きくなっています。また、SaaSの場合、幅広い顧客に対して導入提案を行うため、どの企業に対しても画一的な提案を行っては、競合との差別化ができなくなってきています。そのため、フィールドセールスが顧客の特徴や業務内容に即して最適な提案を行うことが期待されています。
フィールドセールスの年収
フィールドセールスの年収については、一般的にはインサイドセールスよりも高くなる傾向にあります。顧客のニーズ・課題を深く理解し、最適な提案を行うという点で業務難易度が高くなるからです。営業成績に応じた歩合制を採用している企業もあり、営業成績に応じて年収をアップさせることもできます。
フィールドセールスの年収は、平均的には400万円~800万円程度と言われていますが、企業によっては年収1,000万円を超える求人もあります。
フィールドセールスの年収1,000万円を超える求人例
企業 | フィールドセールスの想定年収 |
---|---|
株式会社Legalscape | 550万円~1,500万円 |
株式会社ユーザベース | 815万円~1,300万円 |
ソフトブレーン株式会社 | 600万円~1,000万円 |
株式会社エクサウィザーズ | 600万円~1,200万円 |
株式会社スタメン | 600万円~1,440万円 |
フィールドセールスの業務内容
フィールドセールスのミッションは、見込み顧客と商談を行い、契約締結(受注)を行うことです。業務内容としては、フィールドセールスはインサイドセールスから引き継ぎ、見込み顧客に対して提案を行い、契約締結までを担当します。
提案準備
インサイドセールスが収集したリードの情報に基づき、提案準備を行います。具体的には、以下のような内容があります。
- リードの情報に基づき、サービス、プラン、費用などの提案内容検討。
- 顧客のニーズ・課題を踏まえ、提案資料を作成。
- 訪問計画の立案。
提案・顧客理解
顧客に対して提案を行うと同時に、顧客の業務内容や課題をヒアリングすることで、顧客理解を深めます。通常、一回の提案で合意に至ることはないため、顧客のフィードバックをきちんと理解しておくことが大切です。具体的には、以下のような内容があります。
- 準備した提案内容に基づき、サービスの提案・プレゼンテーションを実施。
- 提案した内容を踏まえて、顧客からのニーズ・課題のヒアリングを実施。
- 顧客が社内の稟議を通す上でのキーマンを特定。
再提案・合意
最初の商談での顧客理解を踏まえ、再提案を行います。二回目の提案でも合意できない場合も多いので、「顧客理解⇒再提案」を繰り返しながら、サービス導入の合意を目指します。サービス導入が具体的になれば、段階的に予算・スケジュールについて交渉を進めていきます。具体的には、以下のような内容があります。
- 顧客のフィードバックを踏まえ、提案内容を修正し、再提案を行う。
- 予算・スケジュールなどの詳細条件の交渉を行う。
契約締結
顧客との合意内容を踏まえ、契約締結を行います。最終的な見積書類、契約書類などを作成し、顧客のサインをもらいます。具体的には、以下のような内容があります。
- 顧客との合意内容を踏まえて、見積・契約書類を作成。
- 自社および顧客のサインをもらい、契約締結を行う。
アフターフォロー
契約締結後もフィールドセールスが顧客の担当窓口となることが多いので、導入に向けたサポートを実施します。具体的には、以下のような内容があります。
- 顧客要望の収集を行い、社内の関係者に連携。
- 導入に向けて必要な情報提供を行う。
- 顧客に関する情報を共有し、導入コンサルへ引継ぎを行う。
フィールドセールスに求められるスキル・資質
フィールドセールスには、顧客の特徴、ニーズ・課題を理解した上で、最適な提案を行う能力が求められます。また、論理的に説明するだけでなく、信頼や熱意に訴えかけるようなコミュニケーションも求められます。
スキル
コミュニケーション能力
顧客との信頼関係を構築し、ニーズを的確に引き出すためには、高いコミュニケーション能力が不可欠です。具体的には以下のような能力が求められます。
- 傾聴力:顧客のニーズや課題を正確に把握するために、相手の話を丁寧に聞き取る能力
- 質問力:顧客のニーズを引き出し、理解を深めるための的確な質問をする能力
- 説明力:製品やサービスの魅力を分かりやすく伝え、顧客の理解を促す能力
- 交渉力:顧客の条件および自社の条件を踏まえ、合意に導く能力
上記に併せて、相手に不快感を与えないビジネスマナーや感情的にならない平常心を持って、顧客とやり取りすることが必要です。
問題解決能力
顧客の抱える業務課題に対して最適なサービス、プランを提案するため、問題解決能力が求められます。顧客は自社にメリットがあり、かつ、費用・価格が合理的でなければサービスを利用したいとは思いません。そのため、単にサービスの説明をするだけでなく、サービスが顧客の業務課題をどのように解決するか、競合サービスに対してどのような優位性があるか、などを具体的に説明することが期待されます。
資料作成能力
顧客に提案内容を分かりやすく伝えるための資料を作成する能力も必要となります。提案資料は、PowerPointなどプレゼンテーション資料で作成することもあり、そのようなスキルを身につけていることが望ましいです。複数の顧客に対して並行して提案活動を行う場合もあるため、資料作成の品質だけでなく効率性も追求することが大切です。
資質
フィールドセールスには、以下のような人が向いています。
高い目標達成意欲
フィールドセールスには、受注件数、売上高、顧客満足度などの目標が設定されていることが一般的です。そのため、目標を達成する強い意欲を持っていることが重要です。また、高い目標のプレッシャーに負けない精神力を備えていることが望ましいです。
行動力の高さ、フットワークの軽さ
フィールドセールスには顧客の要望に対して早期に対応していくことが求められます。顧客から依頼された提案内容の修正など早期に対応することで、顧客の意思決定のスピードを速めることができます。場合によっては、顧客先へ直接訪問し、対面で交渉を行うことも大切です。
また、顧客との会食を設定し、接待するといった行動も時には求められます。商談の場だけではなく、プライベートなどでも関係を構築する積極性が期待されます。
粘り強さ
フィールドセールスは一つ一つの商談を大切にすることが必要です。競合に負けそうな状況でもあきらめずに、提案内容や条件を見直していくことが大切です。また、商談外でも積極的にコミュニケーションを取り、熱意をアピールすることも期待されます。競合に機能や価格で負けていても熱意を買ってもらえることもあります。
フィールドセールスの転職活動のポイント
フィールドセールスへの転職を検討する際は、以下のような観点が重要になります。
スキル・資質
自分自身のスキル・資質を整理した上で、前述のフィールドセールスに必要なスキル・資質を満たしているかを確認します。求人によっては法人向け商材の営業経験、無形商材を用いたソリューション提案経験などが必須の場合もあるので、そのような経験は具体的な実績と共に整理をしておきます。
不足している部分や苦手な部分については、現職での業務や自己研さんを通じて克服する努力をしましょう。現職での学習機会が限られている場合は、副業を通じてフィールドセールスの経験を得ることもおすすめです。副業・兼業については下記記事も参考にしてください。
志望企業
フィールドセールスの志望企業については以下のような観点で整理することができます。
サービスの導入業界
SaaSなどのサービスには、製造業、医療、小売など特定の業界・業種への導入を想定したサービスがあります。これをVertical SaaSといいます。Vertical SaaSでは顧客は特定の業界に限定されるため、その業界・業種に関する知識や経験を備えていることが望ましいです。フィールドセールスでは、具体的な業界の知識を持って提案を行うことで、提案に説得力を持たせることができます。
サービスの対象職種
Vertical SaaSとは対照的に、マーケティング、人事・労務など特定の職種・部門が使用するSaaSもあります。これをHorizontal SaaSといいます。Horizontal SaaSの場合、顧客の業界・業種は様々ですが、職種は限定されるため、その職種における知識や経験を有していることが望ましいです。
転職方法
フィールドセールスへの転職方法は、転職エージェント、リファラル、直接応募といった手段があります。
転職エージェント
転職エージェントに希望する業界や企業、自身のスキルを伝えて、最適な企業を紹介してもらいます。
転職エージェントを利用するメリットとしては、企業の選択肢が増えることです。求人が増加しているとはいえ、日本においてはまだまだ、SaaSのフィールドセールスの求人はそれほど多くはありません。そのため、採用確率を高めるため多くの企業を候補として考えることがおすすめです。
そのため、特定の企業に対して強いこだわりがないのであれば、転職エージェントを利用することをおすすめします。
リファラル
もし希望する企業に友人や知人がいるのであれば、その友人・知人に紹介してもらいます。
リファラルのメリットは友人・知人から実際の業務内容を詳しく聞くことができることです。特にフィールドセールスでは高い目標が課せられる可能性もあるため、実際に働いている人から業務内容、残業時間、評価制度などから、自分の能力、ライフスタイルに合った働き方ができるかを確認しましょう。
一方でリファラルの場合、企業の選択肢が限定されてしまうため、他の手段と併用することが望ましいです。
直接応募
もし、特定の企業に対して強い希望がある場合は、企業の採用ページから直接応募します。
直接応募の場合、希望する業界・企業に直接アクセスすることができます。企業によっては熱意をくみ取ってくれる場合もあり、採用確率が高まる場合もあります。
一方でリファラル同様企業の選択肢が限定されてしまいます。直接応募する場合においても、第二希望、第三希望の企業をあらかじめ検討しておくことをおすすめします。
インサイドセールスの転職サービス
マーキャリ NEXT CAREER
マーキャリ NEXT CAREERは、法人営業職(IT、人材、金融、企画サービスなど無形商材経験歓迎)、SaaS企業現職デジタルセールスに特化した転職サービスで、インサイドセールスの求人も豊富に有しております。2024年5月時点でデジタルセールス人材を400名以上輩出しています。
SaaS転職に特化したエージェントから企業ごとに選考対策に関するアドバイスを受けることができます。応募書類の添削や面接対策を徹底的に実施し、選考においては以下のような実績があります。
- 書類選考通過率:90%
- 1次面接突破率:61%
異業界・異業種からのSaaS企業への転職成功例も多く、理想的なキャリアチェンジを実現できます。
Before | After |
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インサイドセールス 個人向け人材育成事業 | フィールドセールス FinTech系SaaS企業 |
営業企画職 インターネット広告事業 | カスタマーサクセス MarTech系SaaS企業 |
法人営業(有形商材) アミューズメント事業 | カスタマーサクセス HRTech系SaaS企業 |
まとめ
以上、フィールドセールスの年収、業務内容、スキル・資質、転職活動のポイント、おすすめの転職サービスについて解説してまいりました。
フィールドセールスは、顧客からサービス導入の意思決定を得るという非常に重要なポジションです。また、受注率、売上など高い目標が設定されることもあり、難易度の高い職種です。その一方でやりがいも大きく、成果に応じて高い報酬も期待できます。
フィールドセールスへの転職に興味のある方は、是非本記事も参考に検討してみてはいかがでしょうか。
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